製造業はどんな価値を提供しますか?~4段階の提供価値~

価値価値観, 仕事観

著者

GEMBA Producer
大原 健佑
日本の中小製造業を専門に現場のコンサルティング業を経営。QMS審査員補:2015(ISO9001審査員資格保有)。10年間製造業に勤務した製品開発・生産技術・品質管理の経験から、製造業の現場で起きている問題の多くは「品質保証・業務プロセス設計・問題解決」で解決できると突き止める。経営視点を持ちながら、製造業の現場向けにIT・AI活用などの最新手法から、泥臭く地道な改善までの手法を融合させたコンサルティングを行う数少ないコンサルタントとして、日本全国の中小製造業に顧客を持つ。「こんな現場の生々しい話、誰に相談して良いか分からなかった!」と大好評を得ている→ 詳しいプロフィールを見る

 

唐突ではありますが、自分が製造業に10年携わり、その後コンサルタントとして活動していくにあたって、製造業の技術者に決定的に欠けているものがあると痛感しています。

それは、

提供価値

という考え方です。

マーケティングのような考え方を学ぶ中でこの【提供価値】についてのギャップが最も大きかったため、ここに学んだことの一部を書きたいと思います。

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製造業で言う提供価値とは

提供価値とは、読んで字のごとく、『提供する価値』です。

もう少し言い換えると、

『相手にとっての価値』

です。

製造業の技術者は、

『造ったモノの価格』

という概念が強いでしょうけど、そうではないです。

『造ったモノによって相手にもたらされる価値』

です。

さて、それでは、製造業の技術者はいったいどんな価値を提供できるのか、4段階に分けて考えていきましょう。

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4段階の提供価値~製造業の部品加工で例えると~

提供価値には、4段階あります。

第一段階:情報(知っている)
第二段階:知識(良く知っている)
第三段階:知恵(やり方を教えられる)
第四段階:応用(代行できる)

さて、一つずつ見ていきましょう!

第一段階:情報(知っている)

情報

最初の段階は、知っている、相手に情報を提供できる、という段階です。

部品加工で言うならば、

・丸棒状のものを加工する際には旋盤っていうのがあってそれで加工できるよ
・ちょっと削るならグラインダーっていう機械があってそれで加工できるよ
・穴開けたいときはボール盤っていうもので開けられるよ

というような情報提供ですね。

製造業技術者からすれば当たり前のような情報でも、他の業界の人から見ると、

「おぉ!そういう機械を使ったらできるんだ!」

という知識としての価値を提供できるわけです。

一般論で言うならば、新聞やニュースがそれに近いでしょうか。

その業界に携わる人にとっての一般的な知識というものがこの第一段階です。

第二段階:知識(良く知っている)

知識

第二段階は、“良く”知っている、という段階です。

先ほどと同様に加工で例えていくと、

・あの汎用旋盤で加工すると加工精度が〇〇mm程度が限界で、削る時間はだいたい〇分くらいかかるけど、これならできるよ
・その材料を削るときにはこの大きさのグラインダーが一番楽にできるよ
・ボール盤で穴を開けられるけど何Φで深さどのくらい?貫通?あっ、それならできるよ

というレベル。

まだまだ製造業の技術者からすると当たり前のような知識ですね(笑)

それでも、やはり他業界の人からすると

「けっこう詳しく知ってるのね」

ってなって、業者にお願いする際なんかには役に立つ知識になるんです。

第三段階:知恵(やり方を教えられる)

教える

さて、いよいよ第三段階にになると、ちょっとレベルが上がります。

またまた加工に例えていきましょう。

・旋盤では、ワークをこうやってチャッキングして、バイトをどれにして、メモリをこうやって合わせて、ゆっくり回しながらバイトをあてて、、、
・グラインダーはまずは石の状態を確認して、ホントちょっとずつ当てながら、火花とか削りカスが目に入らないように保護メガネをして、モノを見てはまたちょっと削って、、
・ボール盤は、ドリルの径を選んで、ドリルがブレないように少し小さく一旦ガイド穴を開けといてから、2段階で開けるんだけど、巻き込まれないように軍手は禁止ね、あと、、

いずれも汎用機械を題材にしていますが、使ったことがある人ならある程度教えることはできるでしょう。でも、使ったことがないと教えることができる内容はごく限定的です。

ちなみに、私はボール盤とグラインダーは使ったことはありますが、旋盤は使っているところを見ていたことしかありません。

なので、この段階になると限りなく“クロ”寄りのグレーゾーンですね(笑)

第四段階:応用(代行できる)

作業

最も価値が高いのは、代わりにやってあげることができること、いわゆる代行ができることです。

加工を代わりにやってあげちゃうわけですね。

製造業は、基本的にはこの「造ってあげちゃう」をやっていることになります。

なので、本来は、ものすごく価値が高いはずなんです。

ここで間違えてほしくないのは、直接的に作業している時間と価値は比例しない、ということです。

これは完全に個人的な持論ですが、日本は、こういったところに時間の概念を持ち込み過ぎで、結局作業した時間で価値を測ってしまっているんです。

そうではありませんよね。

15分で加工できたからといって、その加工したことの価値は時給1,000円換算で250円、ってことではないはずです。

製造業の技術者は、特にこのことを少しでも考えていただけたらと思います。

そもそも、提供できる大きな価値を持っているのですから!

さいごに

今回は、製造業の技術者向けに「提供価値」の概念について触れてみました。

技術者には、自分が提供している価値を考えていただき、その考えを企業経営にも展開していけたら良いなと思っています。

この提供価値の考え方はマーケティングの考え方です。

かの有名な言葉、

ドリルを買う人が欲しいのは穴である
by セオドア・レビット博士

「穴を開ける」という課題を解決するためにドリルを買うんですね。

技術者が作っているものは、お客さまのどんな課題を解決し、その課題が解決されることによって、お客さまはどれだけ助かっているか。

そんなことを考えてみると良いと思います!

もっとも、私がメーカーに勤務していたころにはそんなことは全く考えてなかったので、すぐには理解できないかもしれません(笑)

それでも、自分の仕事は誰かの課題を解決している、と考えてみることは大切だなと、現場を離れてみて初めて身にしみて感じるのでした。

 

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