製品設計部門の効率が分かる~設計業務診断5つのポイント~

ノウハウ記事

著者

GEMBA Producer
大原 健佑
日本の中小製造業を専門に現場のコンサルティング業を経営。QMS審査員補:2015(ISO9001審査員資格保有)。10年間製造業に勤務した製品開発・生産技術・品質管理の経験から、製造業の現場で起きている問題の多くは「品質保証・業務プロセス設計・問題解決」で解決できると突き止める。経営視点を持ちながら、製造業の現場向けにIT・AI活用などの最新手法から、泥臭く地道な改善までの手法を融合させたコンサルティングを行う数少ないコンサルタントとして、日本全国の中小製造業に顧客を持つ。「こんな現場の生々しい話、誰に相談して良いか分からなかった!」と大好評を得ている→ 詳しいプロフィールを見る

 

製造業において、いわゆる「設計開発部門」はその業務が属人化、またはブラックボックス化しがちです。

頭に描いたものをアウトプットする仕事でもあるので当然と言えば当然なんですが、その人しかできない、その人しか知らないということが起こりやすいんです。

尚且つ、昨今では、不良発生をさせないためのFMEA手法や、下流工程での不良を上流工程の段階で十分に検討して減らそう!という“フロントローディング”という考え方が浸透してきており、設計開発の業務膨大化が問題になってきています。

大企業ではもちろんですが、中小企業においても、如何に早く製作に取り掛かれるかが課題として掲げられている現状で、私は製品設計部門に10年携わり、製品開発プロセス改革を進めてきた知見から、どういった視点で開発の現場を見ているのか、改めてまとめてみました。

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設計業務診断の5つのポイント

私が設計開発部門を見る際の5つの主なポイントです。

ポイント①:設計品質に個人差がないか
ポイント②:日程計画が適切か
ポイント③:進捗管理ができているか
ポイント④:マイルストーンが適切か
ポイント⑤:情報共有がしやすいか

それでは、ひとつずつ見ていきましょう!

ポイント①:設計品質に個人差がないか

育成

設計者が一人しかいないメーカーでは必要性は低いかもしれませんが、設計者が社内に複数人いる場合、

複数設計者で強度や公差の考え方など、設計品質に個人差が出ないような規格書などが整備されて、設計者間で統一したルールの中で設計ができるか

を見ています。

こういった設計基準が整備されていないと、製品の強度不足等の機能不良が発生するだけではなく、例えば、後工程での加工の場面で、設計する人によって使用するエンドミルが異なるとか、使用するボルトの太さ長さの種類がバラバラで設計者ごとに事細かに注意しないといけないため、部品の調達や組み立て工程の担当者に大きく手を煩わせるなど、後工程での業務効率に弊害が起こってしまうんですね。

本当にレベルが高い設計の規格書は、使用する材料やボルトなどの部品や市販部品まで、きちんとどの種類を使用するべきかを体系的に記載されており、その選定に至った考え方や指針までが理由も合わせて書かれていたりします。

ここまできちんとやることを最初から目指すと頓挫しがちですが、社内の重要な技術ノウハウでもある設計情報を高いレベルで統一・共有しているかどうかは、設計業務の効率を見るうえでは重要なポイントなんです。

ポイント②:日程計画が適切か

日程計画

製品設計に限らず、ITの設計でも同じようなことが言えると思いますが、大きく3段階で日程を作成します。

  • 大日程計画(製品ごとの日程管理)
  • 中日程計画(部品ごとの日程管理)
  • 小日程計画(工程ごとの日程管理)

中でも、小日程計画は、加工設備や人ごとの作業に直結する日程計画となります。

私のこれまでの経験で言えば、中小企業においては、大日程計画は上層部がそこそこ形にしていて、なんだけど管理職が中日程計画をうまく作れていなくて、それでも日々の小日程計画はその場でなんとなく作ってる、という場合が多く、それぞれが連動していない、あるいは、全体がどうなっているかを一元的に把握できない、といった企業が多いように感じています。

上層部、管理職、現場などの階層ごとに日程計画をバラバラに作成するのではなく、小日程計画までを連動して作成することで、精度の高い作業工数の見積もりを行うことが重要になります。

ポイント③:進捗管理ができているか

進捗管理

正直に言いまして、設計の進捗管理は難しく、一筋縄ではいかないです。

理由としては、

  • 加工する部品数、加工時間のように工数を定量的に表現することが難しい
  • 構想設計では必要な工数を予測しにくい

等、設計の工数は機械加工などとは異なる点があります。

スケジュール作成時には有用であるガントチャートも、計画としては見やすいものの、そこに実績を書き加えることができず、計画に対して先行しているのか、あるいはどれだけ遅れているのかが分かりません。

じゃあどのように進捗管理を見るのか。

本来、進捗管理というものは、どれだけ早く対策(アクション)が取れるか、を日々の管理の中でリアルタイムに把握することが重要なポイントです。

進捗管理の“表”があるかではなく、締め切り日に間に合ってる・間に合ってない、という結果を見るのではなく、早く対策を取るためのアクションができる仕組みになっているかを見ます。

ポイント④:マイルストーンが適切か

マイルストーン

計画をきちんと立てたからと言って、その通りに行くとは限りませんよね。往々にして遅れがちです。特に、勉強中の若手設計者ほど遅れていく傾向があるのは仕方がないことです。

そんなとき、設計の工程を細分化し、それぞれ期限を付けたマイルストーン(中間目標地点)を適切に設定することで、上司や先輩設計者がダメージが小さいうちにフォローをするような仕組みにし、「何度も手戻りを繰り返す」「大々的に直す」といった問題を未然に防ぐことができます。

そういった意味で、マイルストーンが適切に設定されていて、設計間違い等による大々的な修正をすることがないような進捗管理ができているかを見ています。

ポイント⑤:情報共有がしやすいか

情報共有

設計部門で多いのが、実は“打ち合わせ”の時間なんですね。失敗を避けるために事あるごとに打ち合わせをして、いろんなことを「あーでもないこーでもない」「このほうがいい」「あんなやり方もある」って話し合うんです。

確かにそんな打ち合わせも必要かもしれませんが、ミスを防いで設計を効率的に行おうとするという目的の中、その打ち合わせに時間がかかっていたのでは本末転倒です。

「働き方改革」も叫ばれている世の中にあって、このやり方はもはや時代遅れといえます。

ミーティングルームなどの別室に移動して時間をかけて打ち合わせするのではなく、さっと集まってさっと情報交換や意見収集をしてさっと解散するショートミーティングを行っていることが理想です。

そんなことを実現しようと思ったとき、設計部門の居室レイアウトは非常に重要な意味を持ちます。

属人的になりがちな設計作業ではありますが、必要なタイミングで複数の設計者の知恵を出し合ったり、情報を伝え合うことができるようなレイアウトになっているかは見ます。

あとは、抽象的にはなりますが、雰囲気ですね。

「ちょっと区切りがいいときに10分大丈夫ですか?」

って声をかけられる雰囲気かどうか。

管理職の場の作り方にもよりますし、問題があったとしても解決には時間がかかるんですよね(苦笑)

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さいごに

今回は、私なりの設計部門の業務効率を見るポイントを紹介しました。

ちなみに、これまで私が携わった企業において、全て満点!という企業はありません。

もっと言うと、私が製品開発をしていたときも全て満点ではありませんでした。

私が常々思っていることでもあり、コンサルティング手法のコンセプトにしている部分でもありますが、IoTやAIも進化しており、そういった最新手法を取り入れることは重要ではありますが、結局はそれらの手法を使う“人”こそが重要であり、全て満点じゃないのであれば、それはその組織の「伸びしろ」なのではないかなと考えています。

 

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ぜひ、ご参考になさってください!


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