IoT/M2Mはいいのですが。。。~忘れちゃいけない4つのポイント~


単刀直入ですが、製造業はIT技術の活用が遅れています。

近年、行政が叫ぶIoTの旗印、これがなかなか進みません。理由はいくつかあるのですが、IoTを叫ぶ行政自身が、具体的に何をして良いのかわからないこと、特に中小の製造業にはITに長けた人財が少ないこと、製造業のものづくりに関する知識とITの知識両方を備えた人財がなかなか育てられないこと、職人は特に新しい技術の受け入れに抵抗を感じること、、、。

今回私が紹介したいのは、製造業のIoTが進まない理由に関する点ではなく、IoTに踊らされている現場への警告とも取れる内容です。

とはいえ、あまり構えずにご参考までに読んでみてください。




Point1:すぐにIoT/M2Mにすがってはいけない!

昨今では、働き方改革をキーワードにして、製造業でも「何かして生産性を上げなければいけない」という風潮になってきました。

ただ、行政も含めて製造業の現場では、生産性を向上させるために具体的に何をどうやったら良いのかがわからないのが現状です。そこで、多くの人は『IoT/M2M』の言葉に跳び付いていたのです。最近ではその言葉が『AI』に変わりつつありますが、私から言わせれば

「AIなんてまだまだもっての外!」

という現場がほとんどです。もっと言えば、

「『IoT/M2M』もまだ早い!」

という現場もかなり多いと考えています。

先日、関西ものづくりワールドの中の「ものづくりAI/IoT展」に出展したときのことです。ナレッジを管理するシステムの説明をしたところ、

「その中身のナレッジをAIが作ってくれるわけじゃないんだ」

という衝撃の発言を受けました。そこで私はすかさず返しました。

「もしそうなったら、あなた要りませんよ(笑)」

難しい言葉を使うと、リテラシーとでも言うのでしょうか。IoT/M2Mを使おうとする日本企業の大部分を占める中小製造業の人間のレベルがこの程度では、日本のものづくり産業の発展は期待薄だなと思います。

その他にも、頻繁にいただく質問として、

「何かやらないと行き詰まるのはわかるのですが、IoT/M2Mって何ができるんでしょうか?」
「IoT/M2Mを導入するとどんな良いことがあるのでしょうか?」
「IoT/M2Mって言われてるので勉強がてらきたのですが、教えていただけますか?」

というものです。その質問に対する私の回答はいつも同じです。

「IoT/M2Mはただの一つの手段です」

このことを念頭に置いて話を進めたいと思います。

Point2:IoT/M2Mは何のため?

さて、IoT/M2Mに目が向いたということは、何かしらの問題を解決したいということが背景にあるのだと思います。ここでいくつかのパターンに分かれます。パターン別に解説していきましょう。

パターン①:IoT/M2Mで解決したい問題が明確な場合

明確な課題

既に社内で議論が重ねられている、あるいは深く客観的に考えられていて、解決すべき問題とそのための課題、そして課題達成ための手段と必要機能が明確になっている場合です。

そういったお客様は、必ずストーリーで話してくれます。例えばこんな具合です。

「組立作業者に対して、組立手順と作業方法をアシストをする機能をもったものはないか。組立品の目視検査の見逃しによる流出があって困っている。目視検査の項目を増やしたり二重チェックにする流出防止ではなく、発生防止をするためのプロセス構築を考えている。流出する不良はほとんどが組立手順の抜けや手順の間違いで、その理由は、組立作業者の入れ替わりが多く、教育や習熟までに時間と工数を要する。そこで、組立中に手順を間違いないものと確認でき、作業方法を音声で流すなどの機能を持ったものはないか。」

ここまで考えられていれば、費用対効果によりますが、その機能をもったソフトウェアなのかハードウェアを探せば問題は解決するでしょう。

ちなみに、このパターンのお客様は1%もいません。

パターン②:IoT/M2Mで解決したい問題がわからない場合

わからない

まだ考える時間が足りていない、もしくは深く考える余裕がない場合、あるいはただ単に勉強に来たというお客様がこのパターンです。

このパターンのお客様の具体的な会話内容としては、

お客様「現場の帳票がとにかく紙管理なのでデジタル化しなきゃなぁって思って、、、」
私  「帳票が紙で運用されていることで何か問題が起きているのですか?」
お客様「う~ん、直近ではないかもしれないですけど、保管場所も取るし、探すのも大変だし、、、」
私  「保管場所を取っていたり、探すのが大変なことで、どのくらいの問題になっているのですか?」
お客様「どのくらいと言われると難しいですが、、、時代を考えるとデジタル化かなぁと。。。」

という会話になります。本当はもう少し丁寧に接しますが、ここでは説明簡略化のため、冷たい印象があってもご容赦ください(笑)もちろん、勉強したいお客様には、本来の目的をヒヤリングしたり、IoT/M2M導入によって得られる便益なんかもお客様の状況に合わせて説明足します。

上記のように、解決したい問題が見えていないことはけっこう多いです。完全に手段から入ってしまっています。たしかに、帳票の紙での運用は時代遅れでしょうし、デメリットも多いでしょう。ただ、起きている問題によっては紙帳票のデジタル化が解決手段ではないかもしれませんし、そもそも帳票の設計自体がおかしいのかもしれません。このパターンのお客様がおおよそ40%くらいです。

パターン③:IoT/M2Mで解決したい問題が分かっているつもりの場合

わかっているつもり

実はこれが最も厄介なパターンです。しっかり考えたつもり、問題が分かっているつもり、その問題を解決するための手段も決めているつもり、、、。

こちらも具体例を紹介しましょう。

お客様「M2Mで設備の稼働情報を取って稼働率を取りたいんです」
私  「そうですか。稼働率を取ってどのように生かすのですか?」
お客様「どのくらい設備が動いているのか、段取りにどのくらい時間がかかっているのか、
予定に対してどのくらい進んでいるのか、場内の一つの画面でパッと見れたらいいですね!」
私  「今、それができていないことで何か困っていることがあるのですか?」
お客様「何にどのくらい困っているかわからないってことですかね。」
私  「確かにそれは問題ですね。それでは、まず段取り時間に絞りましょうか。作業日報はあるのですか?」
お客様「一応紙ではあるのですが、集計が大変でできないんです。」
・・・

さて、ここまで来ると察しのいい方は気が付かれるかと思いますが、このお客様がやるべきことは、M2Mで稼働率を把握することではない可能性が高いのです。そして、段取り時間の短縮、進捗把握できないことでの計画の流動性の欠如など、問題の仮説があるにも関わらずそれに気が付いておらず、それぞれを切り分けて考えられていないため、すべてごちゃごちゃに「稼働率」にしてしまっています。

こういったお客様が大体60%程度で最も多い層になります。

 

ここまでで、IoT/M2M導入にあたっても、やはり目的やねらいとその実現に必要な手段との関係が大切であるということがご理解いただけたかと思います。重要なことなので繰り返しますが、

目的・ねらいが明確であること

がIoT/M2Mの検討にあたって非常に重要なことなのです。

Point3:小さく一歩のIoT/M2Mはありませんか?

小さく一歩

突然ですが、IoT/M2Mの導入には費用が掛かります。しかも、展示会に出展されているような華やかなものは特に高額です。中小の製造業にとってその投資は大きくのしかかります。

私は、小さくできることを提案してIoT/M2Mを実感してもらうことから始めています。

例えば、とある塗装メーカーの塗料の在庫管理に関して相談があった際のことです。

塗料が入った缶を見まわったり定期的に重さを測って紙に記録していました。
そこで、使用する度に重さを測ってExcelで作成した管理表に入力して管理する方法を提案しました。
IoT/M2Mとしては、塗装する製品を選択すると、使用する塗料とその配合が呼び出せるようにExcelのごく簡単なVBAを組みました。
そのExcelでは、塗料別の使用量と残量がわかる計算を組んでいます。
そして、PCとはかりを接続させてはかりのボタンを押すとPCにその数値が入力されるようにしました。

これだけです。ソフトウェアの導入や新たな設備導入は行っていません。ただ、これだけで塗料の使用量も把握でき、使用する塗料が何なのかをアシストする機能を持たせ、さらに塗料の残量もわかる、それだけの仕組みです。この仕組みでお客様は大喜び。まずはこれだけで十分なんです。

ちなみに、このExcel自体はお客様に作成してもらいました。なぜなら、ここから改良したり拡張していく作業はお客様自身がやっていかなければならないからです。私がいないとできない仕組みでは意味がないです。

一番重要なことは、お客様自身が、この小さく始められるIoT/M2Mを体験し、その使い方と意味を体験していただくことにあります。一度体験すると、別の課題への応用であったりまた次の課題であったり、その先に繋がっていくのです。そこには、IoT/M2Mに踊らされるのではなく、『IoT/M2Mを活用する』という本質があります。それこそが組織に醸成されるものであると確信しています。

Point4:業務プロセス全体に問題はありませんか?

プロセス

小さくIoT/M2Mを始める前に、もう一つ大事なことがあります。それは、今の業務プロセスをきちんと見直すことです。IoT/M2Mを導入しても、そもそも効率の悪いプロセスをシステム化したのでは全体効率は何も変わりません。あるいは、そもそも必要のない作業までもシステム化されてしまうこともあります。

このことは、

「自分たちは良く考えてるから大丈夫」

と思っている人ほど危険な傾向があることは事実だと思います。目の前にある自分が見える範囲だけしか見えていなくて、そこだけを最適化しても全体最適には到底ならない、そんなケースをたくさん目にしてきました。

上述した、目的・ねらいを俯瞰した視座で眺めて視野を広く持ち、

「他に何かないか」

ということを常に考えられる人財が必要なのです。

そういった人財は各組織においてもそう多くはいないでしょう。1人いれば良い方です。しかしながら、1人では相談できる相手もいないため、いざ実行に移るタイミングになって数の理論で押し切られてしまうこともあります。それだけ業務プロセスを俯瞰して眺め、再設計していく必要性に気が付き、それを実行していくことは難しいのです。

さいごに

重要なポイントを振り返ります。

IoT/M2Mにすがってはいけない

IoT/M2Mを導入したい理由である目的・ねらいを考える(IoT/M2Mは手段の一つ)

小さく始めるIoT/M2Mが何かを考える

業務プロセス全体を考える

上記の点に注意して取り組んでみてください。展示会などでの情報収集はけっこうですが、くれぐれもその華やかな情報に踊らされることなく、足元を見つめて取り組んでいきましょう。

宣伝にはなりますが、私への相談は初回は無料で行っていますので、お客様の現場の実態や状況をお聞かせいただき、場合によっては現場にお邪魔させていただき、ディスカッションをしながら方向性を決めていくお手伝いが出来れば良いかなと考えています。

>>ご相談はこちらの問い合わせフォームから

 

IoT/M2Mの導入に二の足を踏んでいたり、決めきれない製造業の現場が多くある実態ではありますが、何もしなければ何も変わりません。

今後も、IoT/M2M活用の情報を発信していきます。

関連記事はこちら>>産業IoT 3つのwhat~IoTって何?IoTって何ができるの?IoTって何をしたらいいの?~

乞うご期待!





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