
GEMBA Producer
大原 健佑
日本の中小製造業を専門とする現場のコンサルティング業を経営。中小企業診断士・QMS審査員補:2015(ISO9001審査員資格)。製品開発・生産技術・品質管理にの現場に10年間従事した経験から、製造業の現場で起きている問題の多くは「品質保証・業務プロセス設計・問題解決手法」で解決できると突き止める。経営視点を持ちながら、製造業の現場向けにIT・AI活用などの最新手法から、泥臭く地道な改善手法などを融合させたコンサルティングを行い、日本全国の中小製造業に顧客を持つ。「こんな現場の生々しい話、誰に相談して良いか分からなかった!」と大好評を得ている→ 詳しいプロフィールを見る
「製造IoT」「スマートものづくり」と言われて久しいですが、中小企業はもちろん、大企業でもなかなかIoT化が進んでいない現場があるのが現実です。
IoTのためのデータ取得やデータ活用のやり方に大きな分岐点があるように感じています。
この記事では、比較的規模が大きめの企業に限って陥りやすいIoT化が進まないデータ分析に対する原因や、IoT化を進めるために必要なデータ分析の考え方のステップについて紹介していきます。
Contents
こんなIoTのやり方は成果が出ない!
これまでお付き合いさせていただいた大企業(聞けば誰もが分かる企業ですが企業名は伏せさせていただきます)において、IoT化やデータ活用に関する相談を受けてきましたが、IoT化が進まない現状や現時点でどのように取り組んでいるのかをヒヤリングしたところ、いくつか共通点がありました。
その共通点を踏まえて、IoT化がうまくいかない場合のIoT化ステップの考え方をまず紹介します。
ダメステップ①:データをとにかく取る
うまくいっていない会社は、
「とにかくまずデータを取る!」
「現場のデータをとにかく集める!」
ということを考えてしまいます。

「現場のデータはとにかく取っています!」

「現場のデータはたくさんあるんですが。。」
こういった言葉がよく聞かれるんですね。
ダメステップ②:取ったデータを活用する方法を考える

「取ったデータがどう使えるのかが見えません。。」

「取ったデータを使って何かしたいんですが。。」
相談の入り口がこの言葉であることが非常に多いです。
私がこの言葉を聞いて思うのは、
「この疑問や相談には答えがないな」
ってことです。
後述もしますが、目的なく取られたデータにはあまり使い道がないんですよね。
従って、この疑問や相談にダイレクトに答えていくコンサルティングはしないことにしています。
ダメステップ③:活用するために一生懸命分析する

「このデータを分析してもらえませんか?」

「このデータを分析する方法を教えてもらえませんか?」
次に多いのがこの質問です。
“分析”という言葉をどのように解釈されているのかは不明ですが、目的もなく分析するなんて、行き先を決めてないのにタクシーに乗るようなものです。
例えば、最大値・最小値、平均値、レンジ、標準偏差・・・みたいなことが分かればいいのか、傾きや積分を取るのか、あるいは別のデータとの組み合わせで何かの値を見出していくのか、何をして良いのか僕にも全く分かりません。
なんですが、大企業の技術者は計算スキルは持っている人が多いので、目的を決めるための分析を一生懸命しようとするんです。
この3ステップで考えている企業は、ほぼ100%行き詰まってしまうでしょう。
「IoTっているからデータを取って活用するんだ!」
「データがこれだけあるんだからなんか計算できるだろ!」
「とにかくIoT化するんだ!」
それを押し付けられた現場はたまったもんじゃないですね。。
正しいやり方はコレ!
それではどう考えたら良いのか。
正しく分析を行い、それをIoTとして現場で活用するための正しいデータ分析ステップを紹介します!
正しいステップ①:目的を決める
とにもかくにも、これは言いたいです!
まずデータを取るのではなく、一旦頭からデータを話して、
「そもそも何をしたいのか」
を明確にしてください。
例えば、
・プレス機の故障の予知予防をしたい
・成形異常の予兆を検知したい
・品質不良を確実に検出したい
etc…
製造現場での問題や課題があるはずです。
出発点はデータではなく、あくまでも問題や課題にしてください。
正しいステップ②:目的に必要なデータを決める
いよいよ分析するデータ選びです。
繰り返しますが、目的があってデータ選び です。
先ほどの例で見ていくと、
・駆動部の負荷電流値を1サイクルごとにロギングして波形の変化を検出する
・射出圧力、射出速度のピーク値を見つつ、循環水温度を監視して成形不良を検出する
・射出成形品の保圧時間、冷却時間に閾値を設定する
etc…
目的を達成するためのデータの活用方法としての仮説が立てられるわけです。
あくまでも“仮説”という点に注意しましょう。
経験則的に可能性が高いことであっても、後で必ず検証することを怠らないようにすることもデータ活用の鉄則です。
大事なことなのでもう一度言いますね。
目的を達成するために必要だと思われるデータを仮説で選ぶ
このことをきちんと頭に入れておきましょう。
正しいステップ③:欲しいデータを欲しい形で取る
取得するデータを決めたら、そのデータをどんな形で取ったら良いのかを考えてから取ります。
データの形というのは、例えば、
・1サイクルが識別できる
・0.1秒間隔で取る
・圧力と電流値が同期している
etc…
目的を達成するために、取ったデータの意味付けがきちんとできる状態 のことを指します。
電流値が欲しいと言っても、ダラダラとずーっと取っているだけのデータでは意味がないことが多いです。
圧力のデータが欲しいと言っても、何の製品をいつ成形しているのかが分からないデータであればそれは目的を達成するための分析には使えません。
つまり、取りたいデータの形というのは、目的がないと決められないんですね。
データを取る前に目的を決めることの重要性を理解いただけましたか?
正しいステップ④:分析する
そして最後に分析をします。
分析は主に統計的な分析を中心に考えれば良いと思います。

「AIにデータを投げたら答えを返してくれる!」
なんて間違っても思わないでくださいね!!
最大値、最小値、ピーク値、変動、傾き、平均、標準偏差etc…
これらの組み合わせで十分だと考えています。
いきなり難しい手法を使おうとしないことがコツでもあるのです。
個人的にも難しい方法が必要な場面には遭遇したことはありませんし、何よりそれほど難しい手法を使いこなせません。。
世の中に出ているAIの中身も、あくまでも簡単な計算の積み重ねなんですよね。
分析の事例に関しては、また別途紹介していこうと思っていますので、少々お待ちください。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
もしダメステップで考えているのであれば、もう一度原点に立ち戻って“目的”すなわち“問題や課題”を出発点として考えてみてください。
・何のデータを取ったら良いのか分からない方
・データの取り方や取りたい形の実現でお困りの方
・データ分析の方法でお悩みの方
は、ぜひお話をお聞かせいただき、目的を達成するための方法を一緒に考えていきましょう。
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