著者

GEMBA Producer
大原 健佑
日本の中小製造業を専門とする現場のコンサルティング業を経営。中小企業診断士・QMS審査員補:2015(ISO9001審査員資格)。製品開発・生産技術・品質管理にの現場に10年間従事した経験から、製造業の現場で起きている問題の多くは「品質保証・業務プロセス設計・問題解決手法」で解決できると突き止める。経営視点を持ちながら、製造業の現場向けにIT・AI活用などの最新手法から、泥臭く地道な改善手法などを融合させたコンサルティングを行い、日本全国の中小製造業に顧客を持つ。「こんな現場の生々しい話、誰に相談して良いか分からなかった!」と大好評を得ている→ 詳しいプロフィールを見る

 

昨今ではDXをはじめとして、より一層のIT活用が叫ばれています。

製造業においては、10年くらい前から盛んにIoTという言葉とともにIT機器を活用した働き方が提案されています。

ところが、(大手)ITメーカーの提案は刺さらないし、ツッコミどころだらけです。

今回は、そんなITメーカーからの位置測位情報活用の提案に対して突っ込んでいきます。

ITメーカーのダメ提案~位置測位情報~

展示会などではこんな謳う文句を目にします。

「準天頂衛星システム(QZSS)からの高精度な測位データを活用することで、正確な位置情報を把握でき、無駄を減らすことが可能!」

最新技術でこんなことが可能です!

・工場内での作業機械の位置を確認
・正確な位置に部品を取り付け
・作業員の位置を確認してゲートを開閉
・30万年に1秒以下の誤差範囲で時間情報を把握

仕入先や工場など、安価な受信機を利用するだけで24時間いつでも位置情報を確認!

原材料が到着するタイミングを把握することで、工場の稼働タイミングをコントロールでき、業務を効率化!

さて、今回もツッコミどころ満載です。

1つずつ見ていきましょう。

反論①:どんだけ競争力のない商品作ってるの?!

まず、最も現場に近いことを想定したと思われる「正確な位置に部品を取り付け」の部分に着目しましょう。

確かに、位置情報の精度が増せばロボット等で搬送して部品を正確な位置に取り付けることは理論上可能でしょう。

ところが、

今のロボットだと位置が正確にできない。。

という悩みを聞いたことがありません。

 

既に部品の取り付けなんかでは、ロボットのティーチング精度が上がっており、xyzの3軸で指定すればほぼ正確に取り付けできます。

つまり、正確な位置が把握できれば良いなんて言う製品は大した競争力がないんです。

むしろ、取りつけた後微調整しないといけない、微妙にズラシながら反力や感触を確かめてセッティングしなければいけない、という人しかできない作業があるから価値があるのです。

位置情報が正確になったから自動化できた作業なんて、そもそも競争力がないんです。

反論②:自動ドアなんてとっくにやってる!

お次は、「作業員の位置を確認してゲートを開閉」の部分に着目しましょう。

そもそも、どんな場面を想定しているのでしょう?

自動ドアなんて当たり前にありますが。。

位置が分かったからって勝手に開閉されても困りますが。。

こんなツッコミをしたくなります。

別に衛星なんか使わなくてもセンサー一つでゲートの開閉なんかはできます。

衛星で分かる作業員の位置情報で自動でゲートが開閉してくれたらな

なんて聞いたことがありません!

 

全く現場を知らない人が考えているコピーだと思います。

反論③:原材料到着のタイミングなんかで工場稼働コントロールしないし!

お次は、「原材料が到着するタイミングを把握することで、工場の稼働タイミングをコントロールでき、業務を効率化!」に着目しましょう。

到着するタイミングって、衛星使うほどお金をかけて正確に知る必要があるものでしょうか?

クロネコヤマトなどの運送業者なんかは、バーコードとシステム管理によって出発した時間をお客様にLINEなどで通知していますよね。

これ、衛星で位置情報を正確に知る必要がどこにあるのでしょう?

そもそも、そんなにシビアな入荷のタイミングに合わせて生産計画なんて立ててないですよね。

納期と在庫と生産リードタイムを考慮して、生産着手前のタイミングで入荷するように計画立てますよね。

稀に仕入れ先の都合等で入荷が遅れて、納期が迫っていれば少し入荷を待ってから生産することはあっても、そのときには仕入れ先に電話確認するなど、手段はいくらでもあります。

いったい、製造業の生産計画がどんなものだと思っているのでしょう?

反論④:いくらかかるのよ?!

そもそも、そんなに正確さが必要になったところで効果が小さかったり、代替手段がいくらでもある状況で、この衛星システムにいくらかかるのでしょう?

システムだけでなく、おそらくはディスプレイなどの付属部品も必要になってくるはずです。

単純な金額面での投資対効果だけが判断基準ではないかもしれませんが、さすがにこれは投資に踏み切れませんよね。

技術的に発展していて精度がすごいことはよく分かるんですが、いざ現場で活用しようとしても得られるメリットが小さすぎます。

位置観測技術をベースにした、顧客の課題に寄り添っていない提案の典型例だと思いますね。

おわりに

いかがでしたでしょうか?

現場を知る人は絶対に引っかからないこんな位置測位情報活用の提案、していませんか?

とはいえ、何かしらの単純作業に思える作業を効率化したい、作業に当たる人の負担を減らしたい、というご相談もあるかと思います。

GEMBAコンサルティングは、きちんと現場に伺い、なんの目的でどんな作業をしているのかを現場でしっかり見させていただいた上で、現場に合った対策を一緒に考えていきたいと思います。

遠慮なく、下記のお問い合わせフォームからご連絡ください!


コメント

  1. […] これだからIT大手は現場を分かってない!~位置測位情報の事例~ | 「中小企業×製造業」専門|GEMBAコンサルティング より: 2021年3月31日 7:30 AM […]

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