著者

GEMBA Producer
大原 健佑
日本の中小製造業を専門とする現場のコンサルティング業を経営。中小企業診断士・QMS審査員補:2015(ISO9001審査員資格)。製品開発・生産技術・品質管理にの現場に10年間従事した経験から、製造業の現場で起きている問題の多くは「品質保証・業務プロセス設計・問題解決手法」で解決できると突き止める。経営視点を持ちながら、製造業の現場向けにIT・AI活用などの最新手法から、泥臭く地道な改善手法などを融合させたコンサルティングを行い、日本全国の中小製造業に顧客を持つ。「こんな現場の生々しい話、誰に相談して良いか分からなかった!」と大好評を得ている→ 詳しいプロフィールを見る

 

「経営目標をどのように立てて良いか分からない」

多くの経営者からこのようなお悩みをいただくことがあります。

表向きには、

「売上○○円!」
「売上高前年比○%アップ!」

というような目標を掲げている企業は多いですが、果たして、それはどのくらい根拠のある目標数値なのでしょうか。

そして、その目標の意味はきちんと現場に伝えられていますでしょうか。

「売上目標を達成しても利益が小さい」
「売上が大きくなっても給料が上がらない」

こんな事態に陥ってはいませんか?

この記事では、現場が納得し、利益を会社に残す経営目標の立て方について書いていきたいと思います。

“売上”を第一目標にしない

否定

さて、経営目標で、「売上高」を目標に掲げる企業が多いことは事実です。

売上を目標にすることは、なにより業績として分かりやすいという点があります。

金融機関においても、企業とのお付き合いの上では業績指標として売上高を重要視する傾向もありますし、例えば、融資可能な目安金額も「売上の3か月分」などと言われたりしています。

こうした環境も手伝って、各企業の経営目標が“売上”になってしまうことが多いのが実態です。

一方で、こうした売上至上主義に違和感を覚え、利益を目標に掲げる企業もあります。

結論から言えば、“どちらも片手落ち”です。

ここでは、“ほしい利益”を出発点に考える経営計画の立案方法について紹介します。

業績を向上させる企業の多くが取り入れている手法ですので、ぜひ参考になさってみてください。

順を追って説明していきましょう。

ほしい利益”を目標にするメリット

まず前提として知っておくべきなのは、会社にとって大切なのは、売上ではなく“利益”だということです。

売上がどんなに高くても、赤字であったらそれは会社にお金が残らないということに繋がります。

※利益も細かく分けるとたくさんありますし、正確に言えば利益がマイナスでもお金が会社に残ることはあるのですが、その説明はここでは割愛させていただきます。

ともかく、売上より利益が大切であるという前提は忘れないでください。

従って、単純に売上を目標にするのではなく、利益を目標にした上で、そこから必要な売上を逆算して目標にすることが必要になります。

この方法であれば、目標達成とともに最も重要な“利益”を会社に残すことができます。

「売上目標を達成してるのに利益がない!!」

という事態を避けることができるのです。

それでは、欲しい利益からどのように売上目標を計算していくのか、そのプロセスを紹介します。

経営計画立案のステップ

ステップ

①“ほしい利益”を決める

まずは、上記でも説明しました、最も大切な会社に残したい利益を決めましょう。

この時、年間の利益でも良いですし、実態をイメージしやすいように月間等で決めても良いと思います。

「月50万円の利益が欲しい!」

などのように、経営者の“意思”を反映させてください。

②固定費を見積もる

ほしい利益を決めたら、会社の運営にかかる固定費を見積もってみてください。

固定費とは、例えば、工場や事務所の家賃、水道光熱費、一部または全部の人件費、会計システムなどのソフトウェア利用料、年会費などのことで、売上に関係なく固定的にかかる費用のことを指します。

この固定費は、会社や業態によって何が固定費になるのかは異なりますので、一概にこれとこれが固定費です!とは言いにくいです。

自社にとって、売上に関わらずかかる費用は何なのかを一度精査してみると良いでしょう。

新たに固定費を見積もるのが困難なのであれば、前年の決算書を見直してみて、項目ごとに固定費なのかどうかを仕分けてみると良いと思います。

③限界利益率を知る

さて、初めて“限界利益率”という言葉を知った方もいるかと思います。

この点から説明していきましょう。

先ほど見積もった固定費に対して、売上に応じてかかる費用のことを“変動費”と言います。

例えば、製品製作にかかった材料費や、製品の梱包資材、生産のためにかかった残業費用などが変動費に相当します。

売上から変動費を差し引いた値のことを“限界利益”と言います。

そして、売上に対する限界利益の比率を“限界利益率”と言うのです。

こちらも、過去の実績を見て、自社の限界利益率がどのくらいなのかを把握する必要があります。

もちろん、製品ごとに限界利益率は異なることもあるでしょう。

その場合には、平均の限界利益率を把握しておくと良いです。

決算書の全ての費用から固定費を差し引いて算出しても良いですね。

④売上目標を計算する

売上目標=(ほしい利益+固定費)÷限界利益率

いきなり式を書きました。

ここまでで求めてきた、ほしい利益、固定費、限界利益率を用いて、売上目標を算出しましょう。

ここで一つ例を出します。

<ケースⅠ>
ほしい利益:100万円
固定費:200万円
限界利益率:25%
売上目標:1,200万円

<ケースⅡ>
ほしい利益:200万円
固定費:200万円
限界利益率:25%
売上目標:1,600万円

ケースⅠとケースⅡを比較した場合、ケースⅡの方がほしい利益が2倍になっているにも関わらず、目標売上が2倍にはなっていません。

400万円売上を向上させれば、利益は2倍にすることができることが分かります。

このように、目標の売上に意味を持たせることで、目標達成の意味を現場に浸透させることが可能になると同時に、限界利益率の維持・向上や、固定費の維持・低減目標も意味を持つため、現場のコスト意識も高まります

結果として、目標達成とともに、大切な利益の確保が可能になるのです。

その例を示しましょう。

<ケースⅠ>
ほしい利益:100万円
固定費:200万円
限界利益率:25%
売上目標:1,200万円

<ケースⅢ>
ほしい利益:100万円
固定費:150万円
限界利益率:25%
売上目標:1,000万円

<ケースⅣ>
ほしい利益:100万円
固定費:200万円
限界利益率:30%
売上目標:1,000万円

固定費を削減すれば、必要な売上を小さくすることができます。

同じように、材料費などの変動費を削減して限界利益率を高めても、必要な売上を小さくすることができますね。

このような構造を理解することで、全社一丸となって目標に邁進できるという組織的にも良い影響があるでしょう。

※詳しくはこちらに記載しました。

おわりに

いかがでしたでしょうか?

いきなり売上を第一目標にして、その数字を追いかけることの意味を見失ってしまうようなことがあれば、この“ほしい利益”から目標売上を算出する方法を試してみてはいかがでしょうか?

「ウチの場合はどうやって計算したらいいの?」
「ウチの場合の変動費と固定費ってどう考えたら良いの?」

こういったことでお困りであれば、ぜひ一度ご相談ください。

御社の個別の事情を踏まえて、最適な経営計画の立案方法をご提案いたします!


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