ついついやってしまいがちな“手段の目的化”~向こう側の正義~

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著者

GEMBA Producer
大原 健佑
日本の中小製造業を専門に現場のコンサルティング業を経営。QMS審査員補:2015(ISO9001審査員資格保有)。10年間製造業に勤務した製品開発・生産技術・品質管理の経験から、製造業の現場で起きている問題の多くは「品質保証・業務プロセス設計・問題解決」で解決できると突き止める。経営視点を持ちながら、製造業の現場向けにIT・AI活用などの最新手法から、泥臭く地道な改善までの手法を融合させたコンサルティングを行う数少ないコンサルタントとして、日本全国の中小製造業に顧客を持つ。「こんな現場の生々しい話、誰に相談して良いか分からなかった!」と大好評を得ている→ 詳しいプロフィールを見る

 

実際に何かのプロジェクトを遂行している際にはついついやってしまいがちな

“手段の目的化”

コンサルティングをする上では良く見かける光景で、何かと目的を妨げる悪い意味としてこの言葉を用いることが多いです。

とはいえ、手段を目的化してしまう勢力の背景には、それなりの正義があることもまた厄介なところです。

この記事では、私がこれまでに見てきた製造業における“手段の目的化”現象の事例を紹介していきます。

ぜひ、ご参考になさってください。

やりがち手段の目的化①:残業削減

残業

生産性向上で残業削減だ!!

これはけっこうどの企業の言ってしまいがちな目標なのではないでしょうか。

確かに、

生産性=利益÷投入した労働力

なので、同じ成果を出すための時間を短くするために、残業時間削減を目標にして今と同じ売上を上げるというのは、まさに生産性向上の目標に向かっているように見えます。

また、

利益=収入ー費用
費用=材料原価+工数

などと考えても、残業時間削減による割増賃金の削減によって利益を増大させることができるという点では理に適っています。

さて、問題はここから。

私がこれまでに見てきた案件の中で、こうした残業時間削減が目的になってしまっているプロジェクトはうまくいったことがあまりないです。

そこには、こんなジレンマがあります。

残業が減ると従業員の収入が減る

これを考慮せずに、一方的な残業時間削減目標を掲げても、短期的には成果が出せても長期的な企業文化としては根付きません。

従業員も我慢の限界が訪れます。

これが、残業削減に反対する勢力の正義なのです。

じゃあどうするか。

経営陣は、新たな受注を獲得する動きをより強化するべきです。

残業時間が削減できそうになった暁にはすかさず新たな受注を取り込み、そして目標を残業時間削減から売上拡大に切り替え、業績向上を目標にしなければいけません。

生産性向上という大目標を盾に取って、現場で働く従業員だけに負担をかけるようなことはしないでほしいものですね。

やりがち手段の目的化②:手続き順守

その場合はこちらの書類に記載して〇〇部に提出してください。

現場の作業が標準化されてきたり、業務プロセスが固まってくると、業務そのものを運営管理するスタッフ部門の重要性が増してきます。

スタッフが潤滑油になることによって、現場の業務をスムーズに回して生産性を高めることは、組織の成長段階でも重要なステップと言えます。

ところが、このやり方が逆に生産性を落としてしまう場面があります。

これをお読みの方も、スタッフ部門の硬直性や肥大化によって固定費が増加してしまって逆に企業全体の生産性が低くなる現象を見たり感じたりしている方もいると思います。

これは、

官僚制の逆機能

とも呼ばれている現象で、どの組織もこの問題が起こり得ることなのだと認識しなければいけません。

ところが、当事者であるスタッフ部門に与えられた任務は、まさに現場を円滑に運営するための“手続き”なものですから、スタッフ部門はその“手続き”を使命感を持って取り組んでいるわけですね。

これが、スタッフ部門の正義なんです。

こうしたとき、経営者は生産性向上をスタッフ部門に求めずに、売上向上につながる価値ある業務の創出に力を割くことを怠ってはいけません。

そうすることで、新たな価値を創造する業務に取り組むための時間を作り出すという新たな使命を与え、組織全体を活性化させていく必要がありますね。

やりがち手段の目的化③:IT導入

SNS

このソフトを導入するぞ!!

昨今では、私が関わりが強い製造業以外でもIT活用による業務効率化は必須ともいえるキーワードになってきています。

これまでに、前職時代を含めていくつかのITツールの導入プロジェクトに関わってきましたが、実はそのプロジェクトの中で必ずと言っていいほど起こる問題がこのITツール導入が目的になってしまうことなんです。

最初に導入するITツールが決まってしまっているケースが多くあります。

または、RPAツールを使うことが決まってしまっていることもあります。

本来は、業務プロセスを整理した中で、効率化が可能なプロセスに見合ったITツールを選定しなければなりませんし、RPAを作成しなければならないのです。

ところが、ITツールの導入やRPAの導入が決まっていてそれを使うことが目的化されてしまうと、現状のそのままの業務に対してITツールをカスタマイズし、無理やりRPAを作り、結局もともとの業務と効率は変わらない、下手すると、新たにツールを使うことになって手間がかかるなんて言うことも起きてしまいます。

かわいそうなのが、ITツール導入を命じられたリーダーです。

「あの人がこれを使えって言ってるからこれを導入する」

みたいな使命があるために、簡単に手段を変えられない。

それがこのリーダーの正義なんですね。

この現象は、何年も前から警鐘を鳴らされているんですが、ITツールを販売する人もそのツールを導入してもらうことが目的なので、販売者がいる限り簡単には解消されません。

これをお読みの方は、こんなことにハマらないようにしましょう!

やりがち手段の目的化④:定例会議

会議

今月も定例の会議を行いますのでお集まりください

これは比較的管理部門や経営層でも起こりやすい“やりがち目的化”ですね。

月次の報告をすることが目的になってしまっているならまだしも、月次で集まることそのものが目的になってしまっているということもあります。

集まって話した気になって特に決め事はなく、また来月に日程だけが決まっている。

本来、その定例会は何を目的に定例で開催するようになったのか。

古株の人は意外とこの点に気がつきにくく、言い分としては、

「メンバーが定期的にみんなで膝を突き合わせるから結束が強まるんだ」

というもので、それがこの生産性のない定例会を失くそうとしない勢力の正義なんですね。

「この会議で何をするか」

ではなく、

「何をするための会議をどのように開催するのか」

目的を手段を俯瞰的に見た中で再考するタイミングもあることを覚えておきましょう!

おまけの手段の目的化:飲食店の8時閉店

シャッター

さて、おまけです。

この記事を書こうと思ったきっかけでもあります。

今現在(2021年1月)のコロナ禍では、緊急事態宣言に伴って飲食店の営業時間を夜8時までに短縮要請する動きになっています。

この営業時間短縮は、新型コロナウイルスの飛沫感染を前提にして、人が飲食しながらワイワイする時間を減らすための一つの手段として要請されているものです。

ところが、この「営業時間は夜8時まで」の手段が目的化されてしまい、日中時間から酒類を提供する飲食店も現れてきました。

飲食店としては、夜8時までの営業時間で如何に売上を最大化するかを考えた結果で、それが飲食店側の経営や雇用を守るための正義なんですね。

本来の目的をおざなりにしているとはいえ、抵抗する側にも正義があるわけです。

おわりに

いかがだったでしょうか?

【手段の目的化】は、いかなる場面においても起こりがちでその抵抗勢力にもそれなりの正義があり、それ故に解決することも難しいということも分かっていただけたでしょうか。

企業においては、強いリーダーシップを持って正義の方向性を示してあげることも大事なことで、向こう側の正義を作らないためにも現場任せの改革はせず、経営層は現場以上の努力をするべきですね!

手段の目的化によるプロジェクトの遅延や停滞にお悩みの方は、遠慮なくご相談ください。

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