著者

GEMBA Producer
大原 健佑
日本の中小製造業を専門とする現場のコンサルティング業を経営。中小企業診断士・QMS審査員補:2015(ISO9001審査員資格)。製品開発・生産技術・品質管理にの現場に10年間従事した経験から、製造業の現場で起きている問題の多くは「品質保証・業務プロセス設計・問題解決手法」で解決できると突き止める。経営視点を持ちながら、製造業の現場向けにIT・AI活用などの最新手法から、泥臭く地道な改善手法などを融合させたコンサルティングを行い、日本全国の中小製造業に顧客を持つ。「こんな現場の生々しい話、誰に相談して良いか分からなかった!」と大好評を得ている→ 詳しいプロフィールを見る

 

“ながら”のはしりと揶揄されることもありますが、薪を背負い運びながら本を読む銅像の姿が印象的な二宮尊徳(二宮金次郎)

この方は、ただ勤勉だったというだけでなく、村々の財政を立て直すなどで数多くの実績を残した、現代で言うところの“経営コンサルタント”でした。

先日訪れた尊徳記念館にて、改めて二宮尊徳の生涯を振り返り、現代の中小企業経営のヒントにもなることがあるのではないかと思いました。

この記事では、二宮尊徳が行ってきたことを踏まえて、現代の中小企業経営のヒントをまとめてみました。

学び①:どんな環境でも学べる!

確かに、大企業と中小企業では経営体力が違います。

そのせいで、例えば設備投資や、近年で言うところのIT投資などには中小企業は積極的になり切れずに労働生産性の格差にもつながっているという現実があります。

ただし、コトの本質を知り、経営に生かして成長していく点においては、大企業も中小企業も関係ないのです。

下の写真は、二宮尊徳が親戚の家に引き取られて生活していた際に、本に読みふけっている姿を再現したものです。

引き取られた親戚の家は、農業に励むことが全てという教育であったため、明かりが周りに漏れないように布をかぶせていたと言います。

また、明かりを灯すためのに必要な油も制限があったため、尊徳は自ら菜種を植えて育て、油を作ったっと言われています。

さらに、当時の生活では紙を手に入れることが困難でした。

下の写真は、尊徳は砂を箱に入れ、その砂に文字を書くことで学びを深めていった姿を再現したものです。

そう、学びはいつどんな時でもやろうと思えばできるのです。

中小企業だからといって、学ぶことすらあきらめていませんか?

インターネットが普及している現代では、情報格差は限りなく小さくすることができると言えます。

学ぶことをあきらめない姿でいたいものです。

学び②:小さなことの積み重ねが大きなことを為す

一見当たり前のことのようですが、尊徳は18歳にしてこの本質を身をもって知ることになったのです。

あるとき、道端に捨てられていた田植えの際に余った苗を拾いました。尊徳はその苗を用水堀に植えて、結局その年に米一俵の収穫を得たと言われています。

このときの気づきを「積小為大」という言葉で残しています。

この考え方は、経営にも通じます。

製造業において例えると、余った材料を利用して新たなものに加工することで、ゴミ同然のものが売上を生むということです。

実際、余った材料をどうにか使うことを考えた結果に生まれた新製品の事例も数多くあると思います。

そう、結局、大きなことを為すのは、小さなことの積み重ねでしかないのです。

一発逆転を狙ったり、他力本願的な経営をするのではなく、小さなことを積み重ねる経営が非常に大事なのではないかと思います。

製造現場で言えば、5Sなどの基本的なことの上にカイゼンなどが成り立ちます。

カイゼンが徹底されていなければ、改革しようと思ったときにもダメダメな現場が足を引っ張ります。

ましてや、“DX”なんて叫ばれれるこのご時世、足元のデジタル化を進めるためにも、小さなカイゼンを積み重ねた業務プロセス整理ができていないと話にもならないのです。

学び③:相手のルールの上にいるだけでは搾取されるだけ

二宮尊徳の少年期のお話を少ししましょう。

二宮尊徳は、少年期に育った村において畑作仕事にとにかく精を出しました。

それは、真面目に畑作仕事をして育てた作物が売れることで生計を立てていくことが当たり前のことであると考えられていたからです。

ところが、当時行われていた年貢制度では、収穫できた米の4割を年貢として納めなければいけませんでした。

「これでは一生懸命稲を育てたところで一向に幸せでゆとりある暮らしにはならない」

こう悟った尊徳は、荒れ地を開墾して農作物を育てることを積極的に行うようになりました。

当時、開墾した荒れ地で収穫された作物は、一定期間年貢制度の対象にはならないこととされていました。

こうして育てた作物を売ることで、幼少期に一家離散して得ることになってしまった自家のは畑を買い戻し、自家を完全に立て直すことに成功したのです。

この手法が評価され、この後には藩主から財政立て直しの依頼を受けるようになっていったのです。

このお話を知ったとき、私はこう思いました。

「大企業から受ける受注に依存している中小企業も同じだな」

と。

大企業と取引をしていると、一定の受注量を確保できて売上が安定化するとともに、企業の信頼にもつながるため、その取引に依存してしまいがちです。

ところが、この状態は長くは続きません

同じものを提供し続けているだけではそのものの価値は下がりますので、コストダウン要請による価格低下が起こります。

一生懸命コストダウンをしたところでそれには当然限界があり、現場は細かいところまで神経を使った生産体制を強いられる一方で、利益は大きくならないジレンマが訪れます。

これは、完全に相手のルールの上で仕事をしてしまっている状態と言えます。

相手のルールを利用しながらも、商品開発や販路開拓を同時並行で行うことこそが、企業を存続させていく原動力になるのではないでしょうか。

「相手の土俵で戦ってしまってはいないか?」

もう一度考え直してみたいものです。

おわりに

いかがでしたでしょうか?

“温故知新”とも言われますが、名を遺す人の行いからはたくさんの学びがあります。

情報溢れる激動の世の中ではありますが、ふと昔を振り返ってみることで、心を落ち着けて新たな施策を練ってみれば、今後の光明が見えるかもしれませんよ!

事業戦略に関してお悩みのご相談や壁打ち相手のご要望がございましたら、遠慮なくお問い合わせください。


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